数日前、伯母が94歳で亡くなりました。
ここ1年ほどはずっと病院にいましたが、比較的最期まで元気だったようです。
葬儀の際、孫息子がしきりに「祖母はどんな人でしたか?」と周りに聞いてまわっていました。その子は初孫でもあり祖母からとてもとても可愛がられて育ったのですが、若いころの祖母の様子を知りたいようでした。
亡くなってしまった人のことは誰も悪く言いませんよね。
一体彼は何を知りたかったのでしょうか?
そんなことがあり、この本を思い出しました。
謎の死を遂げた美貌の実業家を巡る27人の独白
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・1978年初版
・1984年に53歳の若さで亡くなっています。
・古典芸能から社会問題まで幅広いテーマの作品を残し多くのベストセラー
やドラマ、映画などになっています。
42年前の作品です。(ひぇ~古い、でも当時私は18歳。そう考えると全然古くないですね!)
簡単な簡単なあらすじ
美貌の実業家、富小路公子が謎の死を遂げます。自殺?他殺?
彼女に関わった27人もの男女が生前の富小路公子について語り始めます。
1人1章の形式で、彼女との出会い・人となり・どんなに素敵な女性だったかと。
簿記の学校に通い始めるところから始まり、最後は女実業家まで昇りつめたそんな彼女があっけない死を迎えます。
何故彼女は死ななければいけなかったのか?
とってもとっても面白いですよ!
読み始めると一気です。途中でやめて残りは明日!なんてことはムリ。
だってこんな構成の小説今まで読んだことありませんから。絶対的おススメ本。
この本を読んで思い浮かんだ女性がいました。その女性の名前は、
そう、木嶋香苗。
首都圏連続不審死事件の死刑囚です。
富小路公子も木嶋香苗も大ウソつきです。
でも本人は嘘をついているという自覚がないのでしょう。
そして誰も不幸にしていない。
木嶋香苗の被害者は騙されたことに気づいていない人さえいます。
悪女は馬鹿では決してなれません
富小路公子は簿記を学び、男をたぶらかし、事業を大きくしていきます。
そう、努力家なんです。そこらへんのボォ~とした男たちの何倍も勉強したと思います。
木嶋香苗も14歳の頃から小倉千加子や上野千鶴子を読んでいた早熟な女。
料理もプロ級で綺麗な文字を書き、喋り方も上品だったという。
そして昨年は獄中結婚。
空恐ろしい。
有吉佐和子が生きていたならば、またひとつ面白い作品ができていたのでは、と思います。