今夏の怪談小説シリーズ!第2弾&第3弾のご紹介です。
世の中に読む本は多い。とても死ぬまでに読み切れるものではない。
その中で「いかに読まないかが大切だ」と読書好きの友人は言います。
「ハズレ本を読まないように」という意味でしょうが、そんなもの読んでみないと分かりませんよね。
夏になるとネット上の読書家さんたちのレヴューをもとに、怪談小説を求めてふらふらと図書館に通いつめるのですが、今回は三津田信三さんを読みました。
お初です。
実話なのでしょうか?フィクションなのでしょうか?
読んだのは2冊。
どこの家にも怖いものはいる 2014年初版 中央公論新社
わざと忌み家を建てて棲む 2017年初版 中央公論新社

どちらの小説も作家三津田信三本人と、彼の大ファンで怪談好きな編集者三間坂秋蔵が怪談に関する古い記録をもとに謎解きを展開していくという筋書きになっています。
本を開くと最初のページに
「お願い」と題して、
”本書で取り扱った○○について情報をお持ちの方は中央公論新社の編集部までご連絡下さい”
という文言が。 嘘か誠か分からないけれど既にそこで私はゾッとしました。
「どこの家にも怖いものはいる」は、時代背景も場所も違うのにどこか妙に似ている気がする5つの記録が紹介されます。少しだけ紹介します。
・新築の我が家で幼い娘が壁に向かって誰かと話している。そして男の子が突然消え
てしまう第1話。
・”割れ女”と呼ばれる女から追いかけられ逃げ惑う少年の話、第2話。
・母親が得体の知れない新興宗教の教祖となり、恐怖の体験をした少女の話、第4
話。
など。中でも第2話の少年が逃げて隠れて、また逃げての話は読んでいて息切れしてしまいそうでした!
長持ちの中に少年は息を殺して隠れています。割れ女はそこらじゅうの長持ちを一つずつ確かめながら近づいてきます。

私だったら緊張感と恐怖に耐えられなくなりウォ~と大声を上げ逃げ出した挙句、さっさとお化けにつかまり殺されてしまうでしょう。
ホラー映画を見ていても、「こらえ性がないから一番最初に殺されてしまう役どころだな!」と思います。

おいらは戦争映画を見るたびに、「恐怖心または正義感のため、先頭に立って無謀な行動を起こしズドンとヤラレテしまうタイプ」だと思う。
忍耐力も知恵もない似たモノ夫婦
「わざと忌み家を建てて棲む」は、今流行り?の事故物件ものです。
出演者は前作と同じ二人。
火災・自殺・殺人などがあった家をこともあろうに、寄せ集めて1棟にしそれぞれの家に高報酬で人を住まわせ、人間の心理を探るという悪趣味なもの。
思わず家の隅々をのぞきたくなりゾワゾワ感満載!!
今回はこの二人が得体の知れない何かに追いかけられます。
とた、とた、とた。
した、したっ。
ひえ~~怖いです。
怪談話の内容よりも語り方&構成力でグイグイ読ませる
内容自体は残忍な手口で人が殺されるわけではありませんし、目を覆うような場面も出てきません。
でも読み手に、とってもとっても不安感を与える文章なんです。
語り口と構成力で読ませるというか。
昨年の夏に読んで最凶に怖かった「火のないところに煙は」芦沢央
物凄い霊感体質らしい加門七海さんの数々の作品
実話怪談として最高傑作の「残穢」小野不由美
これらも小説の組み立てが素晴らしかったように感じました。さすがプロの作家ですね。
熱帯夜にはエアコンよりも怪談小説を。